マンション共有部分に関するトラブル
マンション共有部分の利用に関しては、隣人トラブルは勿論のこと利用方法について様々なトラブルが発生しやすいのが現状です。
本稿では、マンション共有部分に関するトラブルを類型ごとに解説いたします。
(1)住民同士の使用権
共有部分の使用は区分所有法に基づいて定められた管理規約に従った利用方法でしか利用できないのが原則です。
共有部分は駐車場や廊下、各戸のバルコニーなどがあげられます。
具体的な例では例えば、玄関扉の前の共用廊下に自転車や植物を設置するなどの事例が考えられると思います。
よく見られる事例ではありますが、共用部分の利用方法として認められていません。
区分所有法に基づいて定められた管理規約のもとでそもそも禁じられていたり、消防法などの法令によって避難や安全性の観点からもモノの設置や利用が禁じられていたりします。
(2)住民以外の不正利用
共有部分の使用は区分所有法に基づいて定められた管理規約に従った利用方法でしか利用できないのが原則です。
つまり、そもそもマンションに住んでいないなど共有部分を所有していない人は当然利用することもできません。
日常的な例では、マンションの駐車場・駐輪場の住民以外による不正利用等が考えられます。
こうした問題が発生した場合、残念ながら勝手に処分することなどは民法における「自力救済」に該当し、法的には認められません。
そのため、自動車であればナンバープレートなどを元に所有者を判明させ、内容証明郵便によって引き取りか処分を今後行う旨の通知などを行うなどの対策を行い、民法に適した手段を持って住民以外の不正利用に対処しましょう。
(3)瑕疵の責任
瑕疵(かし)とは欠陥のことで、物理的瑕疵、心理的瑕疵、環境的瑕疵、法律的瑕疵の4種類が存在します。
そんな瑕疵によるトラブルが共有部分で起こった際は誰が責任を取るのでしょうか。
結論としては、共用部分のトラブルの原因となったものの所有者が誰であるかということを元に判断していきます。
例えば、バルコニーから椅子を落としてしまい、通行人に激突して怪我をさせてしまった場合はバルコニー自体は共有部分ですが、椅子の落下に関する責任はバルコニーを使用している所有者にありますので、椅子を落下させた住人が責任を負います。
他にも、共有部分の手すりが外れてしまい落下した場合は原則、管理組合が責任を負います。
管理組合は区分所有者全員が加入する管理に関係する組合のことで管理費や修善積立金の使用方法などを決定し、運営しています。
「自分は管理組合に入っていない」と言う方も委任状を提出した場合などが大半で、管理組合の一員となっていることが多いため、注意が必要です。
なお、賃貸の場合は必ずしも管理組合に加入する必要はありません。
一方、組合に属していないのであくまでも意見を述べることしかできません。
(4)維持管理費などの滞納
維持管理費や修繕積立金の滞納は一人だけならば大きな問題には繋がりませんが、多くの人が滞納した場合建て替えや維持管理が難しくなり、マンション全体の資産価値の低下にも繋がります。
そのため、滞納者を減らすことと滞納分の回収が重要になってきます。
具体的な対応策として、管理会社や管理組合名義で内容証明郵便や督促状を送付し、滞納分の支払いを催促することが代表的な対応策です。
また、これらの対応策を講じても一向に滞納が改善しない場合は強制執行によって差し押さえを行い、競売手続きを経て滞納分を回収することもできます。
藤井総合法律事務所は、新宿区、世田谷区、杉並区、目黒区を中心に、東京近郊の皆様から、不動産トラブル、隣人トラブル、離婚、債権回収など幅広い分野でのご相談を承っております。お困りのことがございましたら、当事務所までご相談ください。
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弁護士紹介
藤井 貴和
当ホームページをご覧いただきありがとうございます。 私は東京都内を中心に相続、不動産トラブルの法律問題に対応しています。
ご相談者様のお話を丁寧にお伺いし、状況にあった最善の解決策を提案できるよう心がけています。 法律問題の解決は、早めに相談することが最も大切なので、一人で悩まずお気軽にご相談ください。 どうぞよろしくお願いいたします。
- 所属団体
- 東京弁護士会
- 注力分野
- 相続、不動産トラブル
- 経歴
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慶応義塾大学法学部卒
一橋大学法科大学院修了
2015年 弁護士登録
2020年 藤井総合法律事務所設立
事務所概要
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- 藤井総合法律事務所
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