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認知症の相続人がいる場合の相続手続きの方法や注意点について

親などが亡くなった場合、遺言書がないときには相続人全員で遺産分割協議を行います。

遺産分割協議を行うにあたり、相続人の中に認知症の方がいた場合、そのまま相続手続きを進めて良いものなのでしょうか。

今回は相続人に認知症の人がいるときの相続手続きの方法や遺産分割時の注意点について解説していきたいと思います。

相続人の中に認知症の方がいる場合遺産分割を行うことができない

相続人の中に認知症の方がおり、その方の判断能力が遺産分割の話し合いを理解できないくらい低下していたときには、遺産分割協議をしたとしても取り決めは無効になります。

理由として、意思表示ができるほどの判断能力がないひとは法律上、単独で契約などの法律行為を行えないと決められているからです。

認知症の相続人がいるときには法定後見を申し立てる必要がある

意思表示ができない程、判断能力が下がっている相続人がいる場合には、遺産分割協議を行う前に、法定後見を家庭裁判所に申し立てて後見人等を選任してもらう必要があります。

後見人等とは、判断能力の低下した方(以下被後見人等)がそのことを理由に不利益を受けないように、財産管理や身上保護を行って被後見人等の生活をサポートする人のことを指します。

遺産分割協議は判断能力がないと、その相続人自身にとって不利な取り決めになる可能性があるため、法定後見を利用した場合、取り決め内容が不利でないか確認の上、取り決めに同意したり、本人に代わり話し合いに参加したりします。

後見人の選任手続きには14か月程度かかるので、家族が認知症になってしまったら早めに手続きすることをおすすめします。

相続放棄などを行う場合にも後見人等が手続きをサポートする

相続人財産とは、被相続人の一身専属以外のすべての権利義務が対象です。

そのため、状況によっては相続財産が借金などの債務であることもあります。

このような場合、後見人等は認知症の相続人の財産を守るため、本人の意思を尊重しつつ相続放棄の手続きを行うことがあります。

相続人が認知症の場合の注意点

相続人に判断能力がかなり低下している状態の相続人がいる場合の相続手続きの注意点として、必ず家庭裁判所が後見人等を選任してから相続手続きを行うようにしましょう。

法定後見を利用せず、遺産分割協議書へ勝手に代筆した場合、それが発覚すると当然その遺産分割協議書は無効になりますし、状況によっては私文書偽造などで刑事罰を科される可能性があります。

更に、遺産分割協議書を偽造したうえ不動産の相続登記をすると、公正証書原本不実記載罪に問われる可能性がありますのでご注意ください。

まとめ

今回は相続人に認知症の方がいる場合の相続手続きの進め方や、注意点などについて解説していきました。

相続人に認知症の方がいる場合、その程度によって法定後見を申し立てる必要があります。

後見人等を選任しないで遺産分割を行った場合、後々トラブルになる可能性があるので注意が必要です。

とはいえ具体的にどのように進めればいいのかわからないこともあるかと思いますので、不安な場合には弁護士に相談、依頼することも検討してみてください。

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藤井 貴和

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注力分野
相続、不動産トラブル
経歴

慶応義塾大学法学部卒

一橋大学法科大学院修了

2015年 弁護士登録

2020年 藤井総合法律事務所設立

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